事例紹介

ガソリンスタンドから、地域に愛されるトータルカーディーラーへ

提供:鐘ヶ江石油株式会社

佐賀県では、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走してDXを進めることができるようになることを目指しています。

DXを進める理由について

DXアクセラレータ

まず、御社の概要について教えてください。

鐘ヶ江専務

創業55年を迎えた、嬉野市と鹿島市に計3店舗を抱える地域密着型のガソリンスタンドです。
給油だけでなく、車検や中古車販売にも取り組んでいます。
ここに来れば給油以外にも車の購入、板金から車検、廃車まで、車のことは何でもできる、本当の意味でのカーコンビニエンスストアを目指しています。

DXアクセラレータ

"車"に関して、幅広い業務に取り組まれているのですね。
今回、DX伴走支援にはなぜ申し込まれたのですか。

鐘ヶ江専務

DXに関する仕事をされている弊社のお得意様から紹介いただいたのをきっかけに、興味本位で申し込みました。
これまでもガソリンスタンドでありながら給油以外に、自動車販売や車検、廃車と自動車関連の新しい事業にチャレンジしており、今回新たにDXにもチャレンジしたいと思いました。
ガソリンスタンドの業界でDXに取り組んでいる企業が少ない中で、私たちが先進的な企業となってDXに取り組むことへのワクワクや、巷で話題のDXに対する興味があったことがDX伴走支援に申し込んだ理由です。

DXアクセラレータ

興味があることに対しては、チャレンジを厭わない姿勢をお持ちだったのですね。
御社がDX伴走支援に申し込む前の状況について教えてください。

鐘ヶ江専務

特に変わったことをやっているわけではない、いわゆる普通のガソリンスタンドでした。日常的にエクセルやパワーポイントを使う機会もないので、パソコンを扱えるスタッフは少なかったです。また、管理業務が店舗ごとに異なっており、属人化しているような問題がありました。

DXアクセラレータ

そのようにIT人材が少ない状況でDXを推進することに、不安はありませんでしたか。

鐘ヶ江専務

不安は全くありませんでした。DXの先に何があるのか見えていなかったので、ガソリンスタンドとDXがどう結びつくには心配もありましたが、分からないことに興味を持って取り組むことが私は大好きなので、DX伴走支援に取り組むことにしました。

DXアクセラレータ

まずは取り組んでみることが重要な場面もありますからね。
ちなみに、DX伴走支援以前にITツール導入を検討したことはありましたか。

鐘ヶ江専務

同業の知り合いが車両ナンバー認証システムを導入していたので、過去に弊社でも導入しようと検討したことがあります。
車両ナンバー認証システムとは、入店された車両ナンバーを機械が認識して、
お客様のお名前と過去の来店実績などを手元のタブレットに表示するものです。
しかし、費用対効果とデータを二重で投入しなければならず、煩雑であった点から、
導入を断念しました。

伴走支援の内容について

DXアクセラレータ

今回の伴走支援によって実現したかったことは何ですか。

鐘ヶ江専務

売上を増加させるためには既存顧客の適切な情報管理、新規顧客の獲得やノウハウの展開を行うことです。
特に顧客管理の方法が店舗ごとに異なっている状況を変えなくてはいけないと思いました。

DXアクセラレータ

顧客管理に問題があると思うようになったきっかけは何ですか。

鐘ヶ江専務

DX伴走支援を通じて、顧客管理の方法が煩雑であることが分かったことです。
もともと車検のリピート率が全国平均と比べて低いことが分かっていたことに加え、オイル交換をしていただいたお客様に何もアプローチできていないことも思っていました。
問題を感じていたお客様へのアプローチ方法に対し、どこから手をつけていいのかDX伴走支援で議論を重ねていった結果、顧客管理の方法に問題があることが分かりました。

DXアクセラレータ

DX伴走支援を通じて、既存顧客の適切な情報管理に課題感を感じるようになっていったのですね。

鐘ヶ江専務

そうですね。もともとガソリンスタンドでDXというイメージが湧いていなかったので、DX伴走支援以前に想定していた課題はほとんどありませんでした。
DX伴走支援をうけて、様々なことを教えてもらっているうちに、顧客情報を各店舗でバラバラに管理していることなどが浮き彫りになりました。これではダメだと思うと同時に、明確にできてよかったと考えています。

DXアクセラレータ

DX伴走支援が課題を明確にするきっかけとなってよかったです。
顧客管理において、実際にDXに取り組んでみた効果はいかがですか。

鐘ヶ江専務

顧客管理に関する意識を統一していく良いきっかけとなりました。
その結果、今まで属人化していた店舗ごとに業務が異なっていた顧客管理が、かなり統一されてきています。

DXアクセラレータ

それは良い効果ですね。ここまでDX伴走支援に取り組んできて大変だったこと、苦労したことはありますか。

鐘ヶ江専務

正しく伝えることの難しさを感じました。
私と経理担当の社員1名、所長3名の計5名でDXをスタートさせたのですが、各々で現場を持っているため全員揃って打ち合わせを行う機会を作ることが難しかったです。そのため、参加できなかった所長たちには、私が学んだことを伝えることになるのですが、「伝える」ことと、「伝わる」ことは違うと感じました。

DXアクセラレータ

日常業務が忙しく、DXに取り組むことが難しいという中小企業はたくさんおられます。
そのなかで、鐘ヶ江専務は従業員に正しく伝えるためにどのよう工夫をされましたか。

鐘ヶ江専務

所長一人一人と個別に面談をしました。幸い、私は店舗に張り付くことなく自由に動ける立場ですので、面談を通じて相手に分かってもらえるまで何度も伝えることにしました。同じことを3回も4回も伝えることの辛さはありましたが、それ以上に正しく理解してもらえることが重要だと考えて、取り組みました。

DXアクセラレータ

DX伴走支援や従業員との個別面談に取り組んでみて、従業員からの反応や社内の雰囲気はいかがでしょうか。

鐘ヶ江専務

DXに対する従業員の意識が、全体的に揃ってきた印象があります。
もともと、店舗ごとに権限を渡していたのですが、それによって、業務を自分たちオリジナルにやろうとしていました。それが、今回DXに取り組んだことで、全体的に従業員の意識を統一させ、同じ方向に向かって進んでいくように変化していきました。その甲斐あって、今まで属人化していた顧客管理が、かなり統一化されてきました。

DXアクセラレータ

DXを成功させるためには、まずは会社全体が同じ方向を向いて取り組むことが必要ですからね。
今後のDXの取り組みの中で従業員の方に意識してほしいことはありますか。

鐘ヶ江専務

従業員にはDXを継続することを意識してほしいです。DXを始めたばかりなので何か新しいことというよりは、今は店舗オリジナルの方法から3店舗統一の方法にせっかく揃えたところでもあるので、顧客管理など守りの部分をこのまま継続して取り組んでほしいです。
顧客管理が十分出来るようになった際には、新規顧客の獲得など攻めの部分に取り組んでいきたいです。

DXアクセラレータ

どれだけ良いITツールがあっても、使いこなす人がいないと十分に効果は上がらないですからね。
まずは、統一された方法でしっかりと顧客管理に取り組んでほしいと思います。DXに取り組んでみての感想を教えてください。

鐘ヶ江専務

まだ途中ではありますが、気づかされることが多かったです。DXについて一緒に勉強させてもらいましたが、その中で、ただデジタル化するだけでなく、業務フローの改革や社員の意識から変えていかなければいけないということを議論できました。
ITツール導入が必要となる部分以外の課題も明らかにすることができて、すごく助かりましたし、勉強になりました。

DXアクセラレータ

単にアナログツールをデジタル化するだけでなく、その先に業務のあり方を変革することがDXだと分かっていただけて良かったです。

会社の将来構想について

DXアクセラレータ

最後にDXへの取り組みを踏まえて、今後の方向性や将来の展望を教えてください。

鐘ヶ江専務

抽象的にはなりますが、地域の人たちにこの店があってよかったと思ってもらうことです。
現在、ディーラーの間にはガソリンスタンドに業務の一部を委託する動きがあります。その時流に乗って、私たちは自動車も販売するガソリンスタンドではなく、ガソリンも販売するトータルカーディーラーになることを目指しています。そのためには、DXに取り組むことで売り上げを拡大し、適切な経営に努める必要があると考えています。

DXアクセラレータ

御社の方向性にDXアクセラレータのメンバーは共感しています。今後、鐘ヶ江石油さまが地域の方々に愛されるトータルカーディーラーとして、活躍することを期待しております。本日はありがとうございました。

(企業概要)
企業名 :鐘ヶ江石油株式会社
住所  :佐賀県嬉野市塩田町大字馬場下甲1695-7
事業内容:ガソリン給油・灯油取り扱い・A重油取り扱い・配達・オイル交換・車検・新車販売・中古車販売・レンタカー・板金塗装・洗車・コーティング・各種任意保険取り扱い

R5年度アクセラレータ事業受託会社:西日本電信電話株式会社

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