事例紹介

しっかりと収益を伸ばせる 持続的な農業を目指す

提供:アグリ・クリエイティブ・シード株式会社

設立からわずか5年にも関わらず、他業種の企業からも視察の希望が絶えないアグリ・クリエイティブ・シード株式会社。革新的な経営体制を確立し、大きく業績を伸ばしている背景には、綿密な事業計画と農業のスマート化に注力しているからです。

アグリ・クリエイティブ・シード株式会社
諸岡代表取締役

他業種と比べても絶大な伸び代がある農業のスマート化

――まずは御社の業務内容をお聞かせください。

当社は農業コンサルティングと農場運営を行っています。設立から5年を迎えますが、「利益を上げられる農業」の確立を目指し、お陰様で現在では農業の「モデルファーム」として、さまざまな企業が視察にいらしてくださっているんです。この経営モデルをフランチャイズ化して、「利益を上げられる農業」を展開しています。
主に栽培しているのはイチゴで、理由としては技術力が求められ、付加価値が高いからです。特に海外からの需要が高く、今も引き合いが絶えません。ところが、この技術を持っているにも関わらずイチゴ農家は廃業が続き、生産量が下降傾向にあります。ご想像の通り、昔ながらの農業は過酷で、長時間労働が当たり前の世界です。一方で、近年は農業においてもスマート化やDX推進の動きが見られます。私の肌感覚としても、デジタル技術を取り入れた時の伸び代は計り知れません。これまで人の手で行ってきたことにAIやデジタル技術を取り入れて、革新的な事業を行っていきたいと考えています。

――それが「アクセラレータ事業」に参加された動機なんですね。

はい。農場は福岡県にありますが、本社が佐賀県にあることから、これまで佐賀県や佐賀市からさまざまなサポートをいただいてきました。佐賀県スマート化センターにも創設当初から通っていて、本事業をご紹介いただいたのがきっかけです。
農業界は特に、「作る」ことに注力しがちで、「売る」ための営業と広報が足りていないことが多いんです。利益を出すために一番大事なこれらの仕組みに、新しい技術を取り入れていきたいと考えています。

――本事業において、具体的にどのようなことに取り組まれましたか。

スマート化されたイチゴ農場

まずは農業コンサルティング業務へのAI技術の導入です。すぐに回答できる質問についてはチャットボットで対応できるようにし、より複雑な質問や案件について充実したサポートができる時間を確保したいと考えました。同時に、従業員に新規事業に取り組む余裕を持ってもらうことで、自社の成長にも繋げていく狙いです。現在、アクセラレータ事業者にご紹介いただいた協業企業とともにチャットボットの試作品を製作してもらっている段階です。完成したらホームページに掲載しようと考えています。
また、無人八百屋事業にも取り組んでいます。これはロッカー型の自動販売機を設置して、無人駅で自動販売を行うサービスを想定しており、最終的には駅に設置してイチゴを販売する構想を持っています。この構想があって、九州旅客鉄道株式会社(JR九州)のプロジェクト「九州DREAM STATION」のパートナーにも選ばれました。これはJR九州と協働で、駅や路線を活用して賑わいを創出していくプロジェクトです。無人八百屋までのステップとして、今年は駅でのマルシェを、来年には移動販売を行い、再来年には無人販売を実現する計画です。今回のアクセラレータ事業では、無人八百屋を実現するための多目的自動販売機調達に向け、適切な補助金や、製品、ベンダー等を紹介してもらいました。今後は実際に補助金も活用して無人販売のための機器調達を進めていきます。

無人八百屋に並ぶ予定の商品


そして今まさに取り組みはじめたのが、バックオフィス業務の効率化です。受発注から請求、入金までの作業が、あらゆるシステムにまたがって複雑化していました。さらに2024年1月に施行された電子帳簿保存法にも対応しなければなりません。総務事務担当者に負担をかけてしまっている状況なので、少しでも効率化したいと考えています。これは本事業の期間内で本導入にまで至れませんでしたが、さまざまなシステムやサービスを試せたことは大きな前進だと感じています。

 

バックオフィス業務も効率化を図り続けています

――本事業における支援のメリットはどんな点だと感じられましたか。

アクセラレータ事業者には、業務効率化のためのデジタルツールを提案してくれたり、コンサルティング業務のためのAIチャットボットを試作してくれる協業企業の選定や、無人八百屋事業における自販機調達のためのベンダーを紹介していただいたりして、とても助かりました。全体として大きく満足しています。

常識にとらわれず、ITの力を活用して持続可能な農業を実現していく

――今後の展望をお聞かせください。

短中期的な展望としては、筑後地区産のものを中心に、付加価値の高い農産物をより多くの方に知っていただく活動に取り組んでいきたいですね。特に無人八百屋事業では、駅とその周辺に賑わいを生み、人口減少とともに進むいわゆる「買い物難民」という社会課題にもアプローチしていきたいと考えています。
さまざまな事業構想もあり、先日はイチゴハウスで結婚式の前撮りサービスを提供しました。24年中には敷地内に「農業のテーマパーク」を作りたいですね。
そして長期的には、農業の活性化に尽力したい。廃業が進んでいる農業ですが、当社には他業種からの転職者も多数在籍しています。若い世代は終身雇用が前提ではない人も多いようですが、当社の社員にはずっと農業に携わってほしいし、やる気がある人には独立を目指してほしいと思っています。当社で得た技術やノウハウを持って、農業で起業したり、のれん分けしたりしてくれたら本望です。
これらの実現は簡単ではありませんが、あらゆる面で農業の常識にとらわれず、ITの積極的な活用を続けながら、持続性の高い農業を目指していきたいと思っています。


(会社概要)
会社名 :アグリ・クリエイティブ・シード株式会社
本社住所:佐賀県佐賀市兵庫南2-9-16
業務内容:農業コンサルティング・農場経営

R5年度アクセラレータ事業受託会社:ロボフィス株式会社

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