事例紹介

業務フローの効率化 ~紙からの脱却・kintoneの活用~

提供:株式会社九州カーラ商事

佐賀県では、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走して DX を進めることができるようになることを目指しています。 今回は、株式会社九州カーラ商事の取り組みについて、黒田様にインタビューしました。

黒田代表取締役

なぜDXに取り組んだのか

――本事業に参加した経緯

アクセラレータ(ナビゲート型)事務局の十八親和銀行からの紹介を受け、佐賀県で伴走支援事業がある知り、マッチングの際には2社プレゼンをしていただき、フォーバルを選びました。選んだ理由は、もう一社は内製化ではなく人材派遣(必要な方を必要な業務に派遣する)ということだったので、社内人材の育成を行いながらDXに取り組みたいと考え、フォーバルの支援を受けることにしました。
「今の会社の、今の陣容の中で効率化を図りたい」「無駄や紙の作業を削減したい」「昔からのやり方が常態化しているので、10年ごとに仕事のやり方を見直したい」と思っていましたが、取引先の業態が様々ある中で、取引方法や情報管理を一元化することができませんでした。別の事業でベーカリー事業や福岡の方の事業もあり、総合的に管理ができるように悩んでいたタイミングだったので、今回いろんなソフトを使いながら、できることからやっていこうと言っていただけたので、どこまでできるかなと思いながら伴走支援をお願いしました。

――DXの目的とは?

当初はDXという言葉はありませんでしたが、15年ほど前に、手で注文書を書いて、複写の納品書を使っていることに関して、デジタル化するだけでなく、そもそもの業務フローの無駄を見直していきたいと考えていました。簡単にPCで電算化できる部分はやりましたが、業務フローの見直しという部分では、当時では独自のシステムを構築する必要があり、投資の負担が大きく断念していました。今回、ノーコード(kintone)で業務フローを考え直し、業務改善できる方法を教えてもらい、社内若手メンバーを中心に作りたいものを作れたのは良かったです。

――事業参加前に取り組んでいたことがあれば教えてください

これまで、営業担当者のみが顧客情報を握っており、営業が辞めてしまうと顧客データが無くなってしまうということも実際ありました。すべての顧客データや受注プロセス等を全社で共有するようにしたいと考えていました。
事業参加前からkintoneは紹介を受け、便利なツールだと思い導入していました。とりあえず社員にkintoneを触れてもらうことから始めるべきと思い、営業報告書だけkintoneで入力させるようにしていました。しかし、ただ報告書が紙からデータになっただけで、業務フローを変えたり、全社でデータを蓄積・分析できるような仕組みの活用方法はできていませんでした。

事業期間の取組について

――どのような社内体制で取り組まれましたか?

旗振りは黒田社長、業務としては冨吉常務がリーダー、営業部隊は営業部長が主体となって営業の効率化を図り(顧客データ共有、データを基にした営業活動検討等)、システムや事務関係は若手メンバーを中心にチームを組みました。

左から、副島様・石隈様・常務取締役 冨吉様

――専門家によるハンズオン(伴走)支援では、どのような取り組みをしましたか?

kintoneを活用し、業務フローの見直し・システム構築を行いました。
九州カーラ商事では、贈答品の卸等を行っていますが、日々配送手配をしていますが記録をデータで残しておらず、毎日の配送状況が見えていない状況でしたので、『配送センターのパッキングデータ』をkintoneで入力・集計・検索・分析できる仕組みを作りました。結果、状況を可視化確認できるようになり、受注から納品までの稼働効率等を分析できるようになりました。

kintone作りこみレクチャーの様子

また、『出荷指示書』も、代理店マスタ、商品分類マスタ、使用用途マスタ=部門マスタ、営業社員コード等を作成し、反映を実施。アプリはJGCと九州カーラ商事分けて作成しました。

出荷指示書の紙とkintoneの画面

配送センターのパッキングデータkintone画面

――今回の活動を通して、期待している効果・イメージしている未来

取扱っている商品は非常に多岐にわたっています。営業の際には、商品をメーカーのカタログから探すところから始まっています。まず、取扱商品にコードを付与することで、カテゴライズして、PCで商品を探しやすくなるという利点はあります。もちろん商品コードを登録していない商品もあるので、それは随時お客様の要望に合わせて追加していきます。商品やお客様の要望、営業、注文等のデータを蓄積し、社内・チームで共有していくことが、総合商社としての価値を高めることに繋がると思います。(今まで5年経った紙資料は捨ててしまったのがもったいないです。情報は企業財産であるので、今後は貴重な財産を残したいと思っています。)

――事業に参加し、DXに取り組んだことで、社内にどのような変化がありましたか?(大変だったことは何ですか)

実務的な部分は社員に対応してもらえたので、社長としては方向性を付けないといけない部分はありました。やりたいことが多すぎて、どこから手を付ければいいかわからなかったので、伴走支援で優先順位を付けてもらえたのは良かったです。始める順序次第で進むスピードが違うと思うので、経験のあるコンサルから指導を受けられたのは、自社だけで進めるのとは違いました。
社員たちも指導を受けながら、自分たちで変えていけていることを実感していると思います。できないと思っていたことができるようになって、会社の雰囲気も変わってきました。
営業マンでは70歳近いメンバーもいますが、しっかりと営業報告をkintoneで入力できているので、触ってみたらできるようになるんだな、年齢で区切らなくてもいいんだなと思いました。

事業を終了して

――本事業に参加(伴走支援の活用)する場合としなかった場合で、どのような差があったと思いますか?

特にkintoneの導入について、アバウトな「こういうこともできる」という話は聞いていたが、実際やってみると、ある程度までできても、その先は教えてもらわないとできない部分があると気付きました。伴走支援に参加していなければ、大量にある貴重なデータを、貴重なデータと見なさないで終わってしまっていたと思います。今までの実績も、ただ売上がいくらあったかだけで、重要な営業マンのプロセスが残っていませんでした。粗利額だけでの営業評価になってしまっていましたが、営業日報や顧客データを分析することで、営業プロセスを評価していく為の仕組みを作っていけると考えています。

――事業終了後、自社でどのようにDXに取り組んでいきたいと考えていますか?

これまで、佐賀空港ができた時のPRグッズなど、佐賀県の歴史・イベントに関連するPRグッズも作らせていただいています。これからも、九州カーラ商事だけでなく佐賀県の企業様とも連携して事業を展開していきたいと考えています。この度、IT導入補助金も採択され、佐賀と九州のいいものを全国へ発信するECサイト「いっぴん市場(https://www.ippin-ichiba.com/)」を構築しています。佐賀県内の企業様と協力し、商品掲載を増やしていき、県内さらには九州全域の企業様と手を取り合い歩んでいきたいと思っています。

――現在デジタル化やDXへの取組に悩まれている企業様に対して、メッセージをぜひお願いします。

少人数の企業でも、今までの取引や成果、そういったものをもう一度見返すことによって、また違う戦略が生まれてくると思う。DXはただ業務を効率化するのではなく、これまでの取引や成果、経緯といった事例やデータを見返し、新たなビジネスモデルを検討するヒントや判断軸を得ることもできます。
まずはできることから、当社と同じように始めてみればいいと思います。


(企業概要)
企業名 :株式会社九州カーラ商事
住所  :〒840-0811 佐賀県佐賀市大財3丁目5番25号
事業内容:記念品・贈答品販売

R5年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社フォーバル九州支社 

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