事例紹介

DX=全業務デジタル化ではない。アナログも併用しながら自社らしいデジタル化を進める

提供:土橋産業株式会社

佐賀県を中心に住宅や店舗の新築・リフォームなど総合建築事業を展開する「土橋産業」。 「DXに関心はあるけれど、何から始めたらいいか分からない…」というところから、アクセラレータ事業に参加することで自社に合ったデジタル化を進めています。

土橋専務取締役

自社の課題整理からサポートを受け 業務のデジタル化と効率化を推進


——アクセラレータ事業に参加した経緯を教えてください。

もともと、ニュースや補助金のセミナーなどでデジタル化やDXについて耳にしていて、気にはなっていました。いつかは取り組まなければならないだろうとは考えていましたが、コストもかかるし、具体的な課題も整理できていなかったので、漠然とした思いがあるだけだったんです。そんなときに、取引のある銀行からの紹介があったことから、今回参加を決めました。


——課題が整理できていなかったとのことですが、どのように事業に取り組んでいかれたのですか?

アクセラレータ事業者がヒアリングを行った上で課題を抽出してくれました。
その提案の中から、「社内のインフラ整備」「バックオフィス業務の効率化」「人事評価制度の改善」に取り組むことに決めました。


——ぜひ取り組み内容についてお聞かせください。

まずは社内のインフラ整備ですが、実は業務に対してパソコンの台数が足りていない状況で……
業務に対応できるスペックを有する機種を選定するのはもちろん、購入かリースにするかなど調達方法から検討しました。
また、データをローカル保存するのではなく、クラウドストレージサービスを活用することも提案していただきました。
どこからでも簡単にアクセスできるようになることで、パソコンを占有する時間も減るでしょうし、皆でデータを共有できることから業務の属人化を防ぐことにも繋がります。
 実はこのパソコン台数の不足がバックオフィス業務のアナログ化につながっていまして、請求書は手書きしたり、これまで当社で手掛けた物件情報も紙に打ち出して管理したりしていました。
現場担当と経理担当とでそれぞれデータを作って二重管理していたこともありましたね。
今回、顧客管理から原価管理までを一元管理できるシステムを提案していただき、トライアルに向けて調整を進めているところです。コストはかかりますが、その分経理業務の効率化に繋がるのであれば、前向きに導入を検討したいと考えています。
 案件管理についても施工管理アプリ「Kizuku」を導入して、社内浸透を図りました。
導入前は上手く活用されるか不安もありましたが、チャットツールのように簡単に案件の進捗が管理できるので、社員にとっても使いやすいようです。

施工管理アプリ「Kizuku」の画面


 そして人事評価制度ですが、導入の背景として人手不足があります。
特に終身雇用を前提としない考え方を持つ若い世代に長く勤めてもらうことは大きな課題なのですが、これまで当社では昇給や昇格は上司の肌感覚と勤続年数を元に判断していました。
もっと社員のモチベーションアップに繋がる評価制度を導入して、長く当社で活躍してほしいとの思いがあります。
アクセラレータ事業者には人事評価制度の考え方や参考資料を共有していただき、それをもとに社員ヒアリングから始めています。
これについては急激な変化は社員のストレスになることもありますので、長期的な視点で進めていく予定です。

全てをデジタル化することがDXではない。自社にとってのベターを探す


——支援を通して良かった点を教えてください。

支援を受けるまで、DXの必要性はなんとなく感じていても、何から始めたらいいのか、誰に頼んだらいいのか、コストはどれほどかかるものなのか、分からないことばかりで踏み切れない状況でした。
アクセラレータ事業者からの伴走支援を受けて業務課題を明確にすることができ、短期的な取り組みではなく中長期的な取り組みになることがわかったことは大きな一歩ですね。
アクセラレータ事業者からは特定の製品に関する営業や押し売りもなく、無料のサービスを含めて提案してくれたので、信頼して取り組みを進めることができました。


——今回取り組みを進める中で、新しい発見はありましたか?

支援を受ける前は「DXといえば絶対にデジタルツールや新しいサービスを導入しなければいけないんだろうな」と思っていました。
しかし、取り組みが進むにつれて、そうではないということに気が付いたんです。
一部業務はやはりアナログの方が利便性が高く、従業員も使いやすい点があります。
メリットを感じているのであれば無理にデジタル化する必要性はないんですよね。業務を100パーセントデジタル化するのではなく、当社にとってベターな選択をする、当社らしいDXを進めていけばいいのだと気付いて、気持ちが楽になりました。
これはアクセラレータ事業に参加しなければわからなかったことだと思います。




——最後に、今後の展望についてお聞かせください。

現在、会社ホームページも改修しているところです。完成後はアクセス数を伸ばすための施策をChatGPTに尋ねてみるなど、PR面でもデジタル技術を使っていこうと思っています 。
 ですが、次々と新しいことに挑戦するというよりは、まず今回言語化できた課題に少しずつ取り組んでいこうと考えています。
インフラの整備とバックオフィス業務の効率化については今期のうちに改善したいですね。
 取り組みを進める中でまた新たな課題が見つかるでしょうし、その際にはまた佐賀県スマート化センターにもご相談させていただき、改善を続けていきたい。今ある課題の解決も何年先になるか分かりませんが、中長期の構えで臨みます。



 (会社概要)
 会社名 :土橋産業株式会社
 住所  :〒849-2204 佐賀県武雄市北方町大字大崎1103
 事業内容:注文住宅の建築および戸建や店舗などのリフォーム





R5年度アクセラレータ事業受託会社:ロボフィス株式会社

事例紹介(PDF)を見る

事例紹介一覧へ戻る