事例紹介

設⽴100年を超える製造業が本気で挑む、全社横断DXプロジェクト

提供:森鉄⼯株式会社

DXアクセラレーター事業を通じてDXに取り組まれた内容について、総務部 奥川様にお話をうかがいました。

DXを進める理由

DXアクセラレーター

はじめに、貴社の事業概要を教えてください。

奥川様

森鉄工は、液圧プレス・鍛圧機械の設計や製作などを行う機械メーカーです。
1922年設立で、創業102年の歴史があります。
環境に配慮した機械の製作、事務所への太陽光パネル設置、カーボンニュートラルの電力購入など、社会貢献活動も積極的に進めています。

中小企業庁「元気なモノ作り中小企業300社」(2006年)への選定や、日本鍛圧機械工業会「MF技術大賞」(2012年度)受賞などの実績があり、技術力や品質の面でもより高みを目指している会社です。

DXアクセラレーター

奥川様は、どのような業務を担当していらっしゃいますか?

奥川様

勤怠管理や経理業務などを担当する経理部の所属です。
2023年5⽉、本格的にDX に取り組むべく、部署横断でDX チームを編成することになりました。
私は5 ⼈のチームメンバーのひとりとして、全社的なDX 推進に携わっています。

DXアクセラレーター

全社的なDX推進の取り組みが始まった背景をお聞かせください。

奥川様

コロナ禍前から経営層やIT担当者が中心となり、DXの検討を進めていたのですが、具体的な取り組みを始める前にコロナ禍に突入し、世の中は大きく変わりました。
変化に対応しながら収益性を向上させていくためにも、急ピッチでDXを進めなければならないという強い危機感が芽生えたのです。そこで、デジタルツール導入や業務改善に対する意識の高い社員をアサインし、DXチームを発足することになりました。

DXアクセラレーター

単にデジタルツールを導入するのではなく、「収益性の向上」という明確な目的を掲げて、DXに取り組むことにしたのですね。

奥川様

はい。デジタル化により収益性を上げることで、たとえばお客さまに高付加価値の製品やサービスを提供できるようになります。また、従業員の労働環境を改善し、エンゲージメントの向上につなげられるかもしれません。雇用の拡大や地域社会への貢献にもつなげられるでしょう。そうした成果の広がりを見据えています。

DXアクセラレーター

社内である程度体制ができているなか、DX伴走支援事業に参加を決めた理由を教えてください。

奥川様

中小企業とデジタル、双方に知見のある専門家の力をお借りしたかったからです。
すでに外部のコンサルの方と自社DXチームで議論し、DXの目的や施策の骨子はある程度決めていたのですが、ツールの導入など施策の実行フェーズには至っていませんでした。
そこで別の強みを持つ専門家に伴走いただくことで、目的に沿った全社的なDXを進めたいと考え、申し込むことにしたのです。

DX伴走支援の内容

DXアクセラレーター

DX伴走支援事業では、ビザスクのデータベースから専門家を何名か紹介して1人に決めていただきましたが、その理由を教えてください。

奥川様

製造業でのDXプロジェクトのご経験があること、中小企業診断士の資格をお持ちで、中小企業の経営面や実情をご存じだったことです。そして、月1回のペースで当社にお越しいただけることも大切な条件でした。
オンラインでも相談はできるのですが、やはり「画面の向こうの人」というよりは、対面で直接話をして、一緒に取り組みを進めていける身近な存在が、私たちには必要だと考えたからです。

DXアクセラレーター

専門家の伴走により、どのような取り組みを進めましたか?

奥川様

大きく3つのテーマで伴走いただきました。
定型業務の省力化、各部門のDX推進、そしてDXチームの推進体制整備です。

DXアクセラレーター

「定型業務の省力化」について具体的な内容をお聞かせください。

奥川様

当社には、製品の納入やメンテナンスを行う際に作業を記録する「作業表」があります。従来、作業表は手書き・紙ベースで運用していました。
それを関係各部署に共有する際、まず複合機で紙をスキャンし、リネームしてメールで送る煩雑な工程を1日30件ほど行っていたのです。
この作業をAI OCRやStiLLといったツールを活用して効率化し、読み込みから共有まで自動化する仕組みを、専門家の方に相談しながら構築しています。

DXアクセラレーター

「各部門のDX推進」についてはいかがですか。

奥川様

当社には、製品をお客さまに提案・販売する営業部と、メンテナンスを主に行うサービス部があります。専門家の方に各部門とコミュニケーションを取っていただき、顧客管理システムや営業支援システムなど業務ツールの有効な活用の仕方など、業務課題に合わせた改善提案をいただきました。

DXアクセラレーター

DXチームの推進体制整備の内容も教えてください。

奥川様

DX推進体制や手順など、チーム発足時にメンバーで議論していた内容を専門家の方に見ていただき、効果的な進め方など具体的なアドバイスをいただきました。
また、プロジェクト管理や情報の共有ができるツール「Notion」を教えていただいたことで、DXチーム内でのコミュニケーションが非常にスムーズになりました。Notionは他のツールとの連携もしやすいため、これをハブにしてDXの取り組みを発展させていきたいです。

DXアクセラレーター

今回の支援を通して良かったことを教えてください。

奥川様

専門家の方との 1on1 は非常に良い機会でした。
通常は複数の関係者が出席する会議に専門家の方に入っていただくケースが多いと思いますが、そうすると他の人に遠慮して発言を控えてしまうこともあります。
一方、1on1では忌憚なく話すことができ、DX推進に役立つ視点をいくつもいただくことができました。
実はNotionも、1on1の場で教えていただいたのです。また、新しいツールの導入を経営層に上申する際のアドバイスも役立ちました。そして、社員同士ではなかなか言いにくいことも、専門家の方が間に入ることでスムーズに伝えられるなど、社内の意思疎通にも貢献していただいています。

DXアクセラレーター

まさに専門家が組織の円滑剤となっているのですね。

DX伴走支援を通して、どのような変化を感じていらっしゃいますか。

奥川様

ツールの導入など具体的な支援はもちろんですが、意識変革の面がDX伴走支援の一番大きな成果です。
以前はデジタル化といっても、どこか「他人ごと」だったのです。
しかし、専門家の方に伴走いただきながら自分たちで手を動かしたり対面で相談したりすることで、DXを「自分ごと」だと捉える意識が芽生え、自走できるようになったと思います。

会社の将来構想

DXアクセラレーター

今後のDXの展望について、ぜひお聞かせください。

奥川様

当社のDXの目的である「収益性の高い企業」の実現を、今後も目指していきます。
その姿を具体的に描くと、スマート工場です。
生産状況をリアルタイムで把握し、お客さまに適切なタイミングで適切な製品を適切な価格で提供できる企業になるために、DXを進めていきたいと考えています。

DXアクセラレーター

最後に、DX伴走支援事業への応募を検討している企業へのメッセージをお願いします。

奥川様

この事業では、多くの専門家から、自社にマッチした方に伴走していただくことができます。
「ほとんどDXに手を付けていない」「どうせ中小企業だから進まない」という意識もあるかもしれませんが、きっと得るものは大きいはずです。

ぜひ、一歩踏み出してください。



〜〜支援専門家からのコメント〜〜

まずはメンバーの方々と人間関係を構築し心理的安全性を確立することを意識しました。その後、多くの会社で発生している、①認識の固定化(これまでのやり方に固執する)に対し、情報提供や視野を広げる質問の投げかけを行いました。また、②関係性の固定化(本音を言えない)に対し、メンバー間に入ってコミュニケーションを活発にさせ共通目標に向かって議論できるようにしたことで、徐々に自分事になり行動量も増えてきたと感じております。

中小企業診断士として、いつも意識していることは、その会社様の強みを最大限に引き出しながら支援することですが、森鉄工様は、強い製品力や真面目で一生懸命な社員の方々で、アドバイスしたことをどんどん実行し成果を出して頂け、頼もしくやりがいも感じました。
支援専門家  つなぎびと 池田誠 様

(会社概要)
会社名 :森鉄工株式会社
住所  :〒849-1302 佐賀県鹿島市大字井手2078
事業内容:各種液圧プレス・鍛圧機械の設計・製作並びに、これに付帯する業務


R5年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社ビザスク 

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