DX初期段階のプラン設計 ~アナログ業務からの脱却~
提供:株式会社城島自動車
令和5年度のDXアクセラレーター事業で伴走支援を受けられた株式会社城島自動車の取り組みについて、城島社長にインタビューしました。
なぜDXに取り組んだのか
——本事業に参加した経緯
昨年の夏に商工会議所からの案内の中に、佐賀県アクセラレータ事業のチラシがあってその中に、「DXがなぜ進まないのか・・・過去の事例から・・・」という文言に惹かれ、KintoneのセミナーとLINEWORKSセミナーへ参加しました。
セミナー参加後、佐賀県アクセラレータ(ハンズオン型)の伴走支援を案内いただき、日程的に難しいと考えましたが、無料とのことで一か八か参加することになりました。
また、佐賀県で今年度募集されていたSAGA Smart Ninja ~DX即戦力人材育成講座~にも応募し、2023年8月~SAGA Smart Ninjaの講習を受け初め、9月~伴走支援を受けることになり、同時進行で取り組みました。
——(御社にとって)DXの目的とは?
元々、パソコンが普及し始め使っていたのですが、なかなか思うような成果が出ず、紙ベースの資料を使う、言わばワープロの延長のような使い方から進化しないのに不満を持っていました。また、自社の業界(自動車整備業)向けの専用ソフトもなかなか思うように進化せず、ジレンマを感じていました。
最近DXという言葉をよく耳にするようになり、なにか新しい機能や使い方を持ったソフトなどがあるのではないかと思い、どのようなことができるのか掴みたいと考え、事業に申し込みました。
いろんなことを教えて頂き、今までのPCやスマホを使っていたイメージよりはるかに進歩していました。これから少しずつですが業務の効率を上げ、社内の情報の共有化を進めて、お客様に喜んでもらえるサービスが提供できるようにしていきたいと思います。まず、長期目標としては、お客様のPCやスマホから、来店予約や車検の予約をいれてもらえるような状態を目指したいと考えます。次に短期目標として、業務の可視化と社内情報共有の効率化、そして、紙資料の減少と資料検索に係る時間の削減を目指したいと考えています。
——事業参加前に取り組んでいたことがあれば教えてください
LINEグループを社員のLINEをやっている人だけで作っていましたが、特に効率化が出来ているわけではありませんでした。すべての業務がPCやスマホを使っているにもかかわらずアナログで、紙資料も多く机や事務所や倉庫に置かれている状況でした。資料を取りに行くにも、検索するにも時間がかかる状況でしたので、今回の事業をきっかけに取り組んでいこうと思いました。
事業期間の取り組みについて
——どのような社内体制で取り組まれましたか?
まずは私、自らがSAGA Smart NinjaでDXに関する知識を学び、ハンズオン支援で城島自動車の業務の可視化整理、DX推進プランの検討を行いました。
今回の事業を通して、LINEWORKSは社員も使い始めていますが、社内運用ルールを決めきれていないので、まず社内運用ルールを私が決めたいと思います。次の段階では社員の意見を取り入れ全員が使いやすくなればと考えています。
今後は、もう一人、担当者がいた方が、現場の意見を吸い上げたり試行錯誤をして運用が進みやすいと思うので、担当者も決め育てていきたいなと考えています。
——専門家によるハンズオン(伴走)支援では、どのような取り組みをしましたか?
これまで、営業日報は紙管理、自社で預かっている車両や代車等の車両管理は事務所ホワイトボードで記入・管理を行うなど、ほぼすべての業務がアナログ手法となっていました。
まずは、自社の業務フローを確認すると同時にフロー図を作成し、流れの中で困っていることやトラブルの原因になっているところを洗い出し、DX化で解決できることはないのか検討しました。
そして、①社内の連携・情報共有②車両管理③大量に保管された書類のデータ化について、業務の無駄やミスを無くすための要望やアイデアが出てきました。DX初期段階のデジタイゼーション(業務のデジタル化)から、まずは①②の課題に対して共通のツール「LINEWORKS」を活用することを決めました。
①社内の連携、情報共有
LINE WORKSのグループで掲示板機能やチャット機能で連絡するルールを決めました。
②車両管理
LINEWORKSのカレンダー機能を活用して車検予約を共有することとしました。
【LINEWORKSを選んだ理由】
・社員皆プライベートではLINEを使っているので、取り組みやすいと考えました。
・重要な取組目的の一つに情報の共有がありましたので、情報共有の簡易さを重視しました。
——今回の活動を通して、期待している効果・イメージしている未来
まずは、会社の中での資料の検索の為の移動やページをめくる時間を少なくできること、もう一つは、情報を受渡しする際のタイミングの逸失や漏れが無くなるといった効果を期待しています。
これまで誰かに何かを伝えたい時に、隣にいればすぐに伝えられますが、事務所内でも離れた場所に伝えに行ったり、相手がどこにいるのか探しに行ったり、営業で外出しているメンバーに伝えようとしても外出していたためうっかり連絡ミスしてしまったりといったことありました。LINEWORKSに入れておけば、あとは閲覧するルールを決めておけば、記録が残ることで後から検索してチェックもできます。
昨今は当たり前の機能としてLINEを活用していますが、ビジネスにおいて、LINEWORKSを活用できるようになれば、多面的な業務の効率化ができると考えています。
——事業に参加し、DXに取り組んだことで、社内にどのような変化がありましたか?
LINEWORKSの操作が、頭の中でイメージが出来ていないと、使用するだけでは上手くいかないと感じました。プライベートでLINEを日頃使っている分、同じような操作をしてしまいそうになります。しかし、プライベート用のLINEとビジネス用のLINEWORKSは目的・用途が違うので、きちんと切り分けて使わないといけないと思っています。だからこそ社内運用ルールを早急に作成します。
LINEWORKSを導入した際に、社員からの反対はありませんでした。事業よりも前にLINEWORKSを導入したことがあり、社員に伝達すると数名ですが、すぐに登録を完了してもらえました。しかし、運用の目的とルールを決めていなかった為、アプリ登録のみで運用せずに止まってしまっていました。今回の伴走支援にて自社の課題と目指すべき姿を確認できたので、これからはまずLINEWORKSをきちんと使っていこうと思っています。
事業を終了して
——本事業に参加(伴走支援の活用)する場合としなかった場合で、どのような差があったと思いますか?
何かわからないことがあった時に主担当コンサルへすぐに聞けるのと、来社面談スケジュールが組まれているので、自社だけでは先延ばしにしてしまう悩みや取組についてもそれなりに進めることができました。自動車整備事業や自社の経営において、LINEWORKSは無くても今のところ不自由はありませんが、さらに良くするための取組です。本業に直接的に影響しない事柄は、性急な対応が必要では無いので先延ばししようと思えばできてしまうものですが、事業に参加したことで早めに取り組む事が出来ました。
——事業終了後、自社でどのようにDXに取り組んでいきたいと考えていますか?
これまで、社長と社員間のコミュニケーションや、外出先の営業と事務員とのコミュニケーションが対話・電話のみである為、情報伝達ミスや漏れが生じていましたが、LINEWORKSをしっかりと活用することで、社内での「聞いていない」「言っていない」ということを無くしたいとおもいます。また、対応している営業一人だけが情報を握りしめており、伝達ミスや離職等により顧客情報を失ってしまうリスクを無くすためにも、LINEWORKSの活用から、さらにDXの取組を推進していきます。
ゆくゆくは、「机の上の紙書類をすべて失くしたい!」と考えています。
SAGA Smart Ninjaで知識の幅が広がり、伴走支援で自社の業務の可視化、今後の取組プラン、実際のLINEWORKS運用ルールを考えていくことができたので、引き続き実践していきます。
——現在デジタル化やDXへの取組に悩まれている企業様に対して、メッセージをぜひお願いします。
DX化といわれると、難しいと思われますが、DX化が進むということは仕事が簡単便利にならないといけないと考えています。
よく考えると、自動車の運転も重機の操作もはたから見てると難しそうに見えますが、意外とやってみると簡単だとも感じるかと思います。
まずは、どんなことができるのか?佐賀県産業スマート化センターや、近くの自治体窓口、DXに取り組んでいる企業等に聞いてみてから考えてください。
(会社概要)
会社名 :株式会社城島自動車
住所 :〒848-0031 佐賀県伊万里市二里町八谷搦115-6
事業内容:車検、一般整備、新車・中古車販売、保険取り扱い、カー用品類販売
R5年度アクセラレータ事業受託会社株式会社:フォーバル九州支社