事例紹介

【業務改善DX】 DXを通じた自走人材育成

提供:吉田刃物株式会社

佐賀県では、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走して DX を進めることができるようになることを目指しています。 今回は、吉田刃物株式会社の取り組みについてインタビューしました。

DXに取り組むきっかけと課題

これまで、製造部を中心に3S会議等の現場改善のプロジェクトを行っていましたが、会社全体を見渡した際に生産性を上げるためのデジタル活用などは遅れており、何かしらの取り組みを実施しなければならないという危機感を抱いていました。そのタイミングで、経営勉強会で知り合ったBottoKに相談したところ伴走支援事業の話を耳にし、この出会いがきっかけとなり本支援事業への応募を決意しました。

目的

社会のデジタル化、IoT化の流れに対応するために自社のDX推進は必要不可欠だと考え、自社でも業務改善の取り組みを進めていましたが途中でプロジェクトが頓挫してしまい成果に繋がるDX推進ができていない状況でした。
各部門毎の課題も雑多にある中で、最大の課題は社内に自走人材が不足していること、育成のプログラムがないことだと気づき、本事業をきっかけにDX推進チームを立ち上げ、自走人材育成に着手することにしました。
また、2025年までの中期経営計画の中で、デジタル化を踏まえた全社・部門毎のあるべき姿の再設定を行うことにしました。

DX推進チームの立ち上げ

課題を見つけ、デジタルを駆使して解決できる人材を自走人材と定義し、製造部・総務部より4名のプロジェクトメンバーを選抜しました。
キックオフの中で、プロジェクトの立ち上げ背景やDX推進した先の、自社のありたい姿を改めて共有し半年間のプロジェクトをスタートさせました。

キックオフの様子

課題解決に向けた取り組み

課題を洗い出し、部署DX方針を打ち出す

プロジェクト参画メンバーのデジタルリテラシーや業務の経験値にばらつきがあったため3つのフェーズに分けて各部門毎のDX推進を実施。
まずはmiroを活用し、各部門毎の業務整理と課題の洗い出しを行いました。課題の優先づけを行った結果、部門毎に以下の課題に対してデジタルを活用した業務改善が実施できないかを考えていきました。
製造部は、月1回の棚卸し業務が目視で確認し台帳に手書きで書き写す、アナログ作業になっていたためこの課題に対するデジタル化を行うことにしました。
総務部は複数課題出た中で、悪天候により会社が休業する際に、連絡が手段が統一されておらず連絡に時間がかかってしまうため連絡手段の統一と、有給の申請・管理がアナログで時間がかかっていたためこの2つの課題に対してデジタル化を進めていくことになりました。
各部門の課題の整理と優先づけができ、業務フローの可視化を行う中で「改めて同じチームの人がどんな仕事を行っているのか知ることができた」「時間の無駄を痛感した」という声がプロジェクトメンバーからも上がり、各部門毎に課題の解決に向けたデジタルツールの選定を行いました。

業務フローの可視化

デジタルに触れ、活用してみる

製造部は、在庫のリアルタイム管理・シンプルな操作性を軸にツールの選定を行い、RFIDQRを提供しているベンダーとの面談を実施。
総務部は、社内のコミュニケーションツールとしてslackを選定し、テスト運用に向けたチャンネル設計し、全社に展開する前に、社内のリーダーをを中心にslackのテスト運用を行うスケジュールを策定しました。
勤怠管理のシステムに関しては、らくらく勤怠、就業大臣、TimePro-NXの比較を行うため、ベンダーとの打ち合わせを実施。まずは、総務チームで各ツールのテスト運用を行うため、各ツールの検証ポイントとを整理しテスト導入に向けた計画作成を実施しました。

ツールの比較表作成

また、2025年までの中期経営計画を刷新しDX推進を踏まえた上で会社のあるべき姿の策定も行いました。
2024年の3~2024年の9月までに、身の周りのデジタル化を進めることによるデジタルリテラシーの向上/生産性向」を目標に各部門毎の課題を整理しデジタル化を実施します。 

写真左:製造部/中村様 写真右:佐賀IDC/村田氏

そして、202410月からデジタル化を進めた先のデータ活用経営実施、空いた時間を有効活用した生産的な業務への着手し、202510月以降に重要指標の達成/組織還元の3つのステップに沿ってDX推進を行います。

今後の展望

これまで3S活動を通じて現場改善を行ってきましたが、DX推進に関しても継続的に取り組みを進めていくことで組織のデジタル基盤と自走人材の育成を強化していきます。
時間はかかると思いますが「11つ石を積み上げて行かないと山にはなって行かない」と思っているので、DX推進をただのツール導入ではなく、組織文化の変革として捉え、その醸成に向けた活動を習慣化していくことを目指します。
会社として常に何かを前進させて行かないといけないと思っている企業は多いと思いますが、自分が目指す方向性に対して自分がどの位置にいるのかなかなか自社だけでは客観的に見れず井の中の蛙になってしまうと思っています。
外部の方の視点やさまざまなツールをうまく活用しながら選択肢を広く持った上で事業を前進させていくための取捨選択をしていくことが重要だと思います。


(企業概要)

企業名 :吉田刃物株式会社
住所  :〒846-0025 佐賀県多久市南多久町大字花祭2808
事業内容:ガーデニングナイフ・インダストリアルナイフ製造

R5年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社佐賀IDC/株式会社BottoK

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