事例紹介

「最強チームになる為に」 半年間で経営陣の意識が変わり、DXの取組を社内全体にも波及、加速

提供:株式会社マツモト 

佐賀県では、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走して DX を進めることができるようになることを目指しています。 今回は、株式会社マツモトの取り組みについて、松本様と陣野様にインタビューしました。


松本代表取締役社長、経理・品質管理部/陣野様

なぜDXに取り組んだのか

――本事業に参加した経緯

システム導入の為ITベンダーをマッチングしてくれる窓口が何か無いかと探していた時に、佐賀県産業スマート化センターを見付けて、「こんなところがあったのか!」と知りました。
システム導入等について相談する中で、センターの方から「ITベンダーマッチングだけでなく、伴走支援も活用した方が良いのではないか」と案内いただきました。そして本事業を知り、参加を申し込みました。

――(御社にとって)DXの目的とは?

(今回、バックオフィス業務を束ねる陣野様、前年7月に社長就任された松本様のお二人で伴走支援を受けていただくこととなりました。)
陣野様:8年くらい前にマネーフォワード会計を導入し、その頃から、デジタルツールを使うように意識し始めました。

松本社長:専務になったころ(78年前)から、「日報を紙ではなくPCで打ち、無駄な紙を無くそう。行程スケジュール等をPCで誰もが更新できるようにしたい。」という思いはずっとありました。試したりしてきましたが、社員の実行には結びつかず、定着しませんでした。今回は、社員の実行まで進めることができました。

――事業参加前に取り組んでいたことがあれば教えてください

陣野様:会計関連はデジタルツールの活用を進めていました。会計業務に関わるメンバーのみの少人数で対応できるものだったので、進められたのだと思います。

松本社長:会計と仕事完了時の支払受理の業務を管理する為の一貫したソフトを製作しようかという話も以前出ていました。しかし、自社システム開発は数百万の投資となり、一旦会計と原価管理ができるツールから始めることにしました。ゆくゆくは各種システムのAPI連携も検討していきたいと考えています。

事業期間の取組について

――専門家によるハンズオン(伴走)支援では、どのような取り組みをしましたか?

支援当初は、課題が多すぎて整理がついていませんでしたが、業務フロー図作成や現行のシステムや書類を確認、業務課題を部署ごとにヒアリングし、業務の可視化に取り組みました。今では「何が課題か・取組むべき順序」を整理できています。
そして、この事業期間には、
①安全設備の図面や製品検査用の書類等、社長の事務業務を他社員へ移行
②スケジュール・タスクのリアルタイム管理(全社での取組)
に取り組ました。

1月に自社のDX推進について社内説明会を実施しました。ただLINEWORKSの運用ルールを説明するのではなく、社長の想い・会社の方向性を伝え、DXについてかみ砕いて理解を深め、最初の自社の取組としてLINEWORKS運用ルールを説明することで、社内メンバーの意識・意欲を深めました。そして、「最強チームになる為に」全社一丸となり取り組むようになりました。

1月の説明会の様子

勉強会資料

――どのような社内体制で取り組まれましたか?

松本社長:主に率先して取り組んだのは陣野さん、ベテラン社員やITに詳しい社員に相談しながら、前向きに取り組んでいます。

陣野様:説明会の時に初めてLINEWORKSを使うことを周知しました。
今後のDX推進体制としては、社長の想いを理解して進めてくれる人がもう一人いたら、もっと進められるのになとは思います。現状は、日々の業務に追われてしまっており、社長の想いに同調して行動してくれる社員の育成はまだ進んでいません。そこは今後の課題です。まずはLINEWORKSの活用をどんどん進めていって、徐々に引き寄せていけたらなと思います。

――今回の活動を通して、期待している効果・イメージしている未来

松本社長:みんながきらきら輝いて働ける職場になると思います。要は、コミュニケーションをもっと取れるようになり、社員同士の意思疎通がよく取れるようになったら、働きやすい会社になるとイメージしています。会話やチャットだけでなく、スケジュールやタスクを共有することで、違う部門の社員であっても、お互いに誰が何を何時までやっているか見えるようになったことが良かったです。

陣野様:どんなに小さな情報でも社員皆でシェアしたいと考えています。そうすることで、お客様にも「マツモト(社)はなんでも自分の事を知っているな・対応してくれるな」と思ってもらえる対応ができるようになります。今はまだLINEWORKSで日報しか入力していませんが、それでも、ただの仕事の日報ではなく、各現場や社員の状況が見えてきました。社内情報の可視化の実現に近づいていけると実感しています。

――事業に参加し、DXに取り組んだことで、社内にどのような変化がありましたか?(大変だったことは何ですか)

松本社長:PC等を使うのに慣れていない人にとっては「嫌だ」という声も少しありました。しかし、やりたくないけど、社員皆で「こういう風にやればいいのではないか」と教え合えているので、実践して1か月くらいでちょっとずつ慣れてきたようです。

陣野様:LINEWORKS導入時のハレーションには結構警戒していました。元々、会長は社員が少しでも煩わしく感じる事柄に対して気を配っており、「社員に負荷をかけない」に重きがおかれていたので、何をするにも慎重になってしまいやりたいことができずにいました。今回のツール導入に際しても、言葉遣い等にものすごく気を付けて説明会を行い、運用方法についても「どうやったら煩わしくなく簡単にできるのか」を念頭に入力ルールを決めました。すると、説明会の際には、案外社員の皆きちんと受け入れ、取り組んでくれました。新しいことを取り入れて前向きに進んでいく、変わっていく会社の方が、社員の協力を得られるんじゃないかと実感しました。

事業を終了して

――本事業に参加(伴走支援の活用)する場合としなかった場合で、どのような差があったと思いますか?

陣野様:この半年間で明らかに社長も変わり、社員も変わりました。新しい風が入って来たと、ものすごく感じています。この事業が無かったら、何も変わらなかったと思います。

松本社長:長年進められなかったことを、少しスタートラインに立てたかなという感じはしました。毎月コンサルとの面談があることで「こうやったら上手くいくな」というイメージを持てたことで、やる気も生まれ、保つことができました。元々会社に入ってから、「こうしたらいい、こういうのに取り組んだらいい」という思いがあり、自分だけで取組んだりしていましたが、周囲のメンバーに伝え・巻き込むことはできませんでした。もうこのままでいいと半ば諦めていましたが、今回の支援によってやる気を復活させられました。

――事業終了後、自社でどのようにDXに取り組んでいきたいと考えていますか?

松本社長:まだまだずっとITというのは発達していくので、なるべく取り入れて、無駄を省いて働きやすい環境づくりを実現したいです。本業に力を入れて仕事をしていきたいと考えています。

陣野様:少子化で日本人がいなくなっていくと思うので、モノづくりを支える為には外国人人材を受け入れる体制が必要だと思います。外国人人材をスマートに受け入れられる体制づくりをしたいので、教育動画等デジタルコンテンツ作りもしていきたいと考えています。

――現在デジタル化やDXへの取組に悩まれている企業様に対して、メッセージをぜひお願いします。

松本社長:私みたいに、考えている経営者はいっぱいいると思います。早く取り組んだ方が絶対にいいことなので、とにかく早く取り組んで、自分では何年も考えていても実現できないのなら、伴走支援を絶対にお願いした方が良いと思います。


(企業内容)
事例企業:株式会社マツモト
〒849-1323 佐賀県鹿島市大字音成丙2243
事業内容 鉄骨・木造建築工事業  給排水工事業

R5年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社フォーバル九州支社 

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