事例紹介

若く新しい平飼い養鶏農場が挑む、「人」を活かすDX

提供:株式会社sueco

佐賀県では、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走して DX を進めることができるようになることを目指しています。 今回は、株式会社suecoの取り組みについて、松本様にインタビューしました。

DXを進める理由

DXアクセラレーター

はじめに、貴社の事業概要を教えてください。

松本さん

suecoは、国産飼料100%で平飼い養鶏を行う「素ヱコ農園」を運営しています。20222月に創業した、まだ若い会社です。平飼いとは鶏を地面の上で放し飼いする方法で、アニマルウェルフェアの観点でも注目されています。平飼い卵は日本の市場に5%ほどしか流通していない貴重な卵です。

DXアクセラレーター

なぜ、平飼い養鶏の事業を始めたのですか?

松本さん

私の祖母は伊万里で水菜農家をしていました。そんな祖母と一緒に暮らすために始めたのが、平飼い養鶏事業です。私は学生時代オランダに留学して最先端の農業について学び、農業メディアのライターの仕事をしていたことがあります。ヨーロッパでは循環型農業が盛んです。人々も地球環境のことを考えてオーガニック製品を購買していることに感銘を受け、日本でもそういうことができたらいいなと考えたことが、今につながっています。

DXアクセラレーター

今回、DX伴走支援事業に参加を決めた経緯をお聞かせください。

松本さん

当社はまだ新しい企業で、メンバーも20代ばかりです。これから事業を拡大して人も採用して組織を大きくしていこうと考えるなかで、DXに関心は持っていました。しかし少人数の経営であり、なかなか手を付けられていませんでした。そんな折に、商工会議所でDX伴走支援事業のことを知り、応募したのです。

DXアクセラレーター

これまで社外の専門家の支援を受けたことはありましたか?

松本さん

何度かありました。私たち自身まだ若い会社ですから、EC事業に詳しい方に一緒に入っていただいたり、財務系に強い方にアドバイスをいただくなど、外部専門家の力をお借りする機会は多いです。そのため、抵抗感はありませんでした。

DXアクセラレーター

どのようなところに課題を感じて、DXを推進しようと考えたのでしょうか。

松本さん

たとえば顧客情報の管理や日々の出荷状況の確認といった業務の効率化、そして鶏の生育状況や生産状況のデータを蓄積・分析したいと考えていました。

DX伴走支援の内容

DXアクセラレーター

DX伴走支援事業では、ビザスクのデータベースから専門家を何名か紹介して1人に決めていただきましたが、その理由をお聞かせください。

松本さん

IT企業にお勤めでDXの知見があることだけではなく、農業や牧場経営にも精通していらっしゃることが決め手でした。

DXアクセラレーター

DX伴走支援事業の具体的な内容について教えてください。

松本さん

社内に散在する情報やナレッジを一元管理するために、Notionを提案いただきました。以前は、社員6名がそれぞれの担当業務の情報について、ノートに手書きするなどして管理していたため、どうしても属人化してしまっていたのです。それを数字や写真といったデータを各自がNotionに入力することで可視化でき、コミュニケーションが円滑になりました。

DXアクセラレーター

Notion導入により、社内コミュニケーションがどう変わったのでしょうか。

松本さん

ファクトベースで話ができるようになりました。たとえば産卵数や産卵状況について、口頭での共有の場合、どうしても担当者の解釈が入り込んでしまいます。しかし、Notionに数字や写真を共有していれば、全員が同じデータを見ながら事実をもとにコミュニケーションを取ることができます。今後の打ち手についても、過去の実績や関連するデータもあわせて考えることができるため、意思決定も迅速に行えるようになりました。

DXアクセラレーター

データをもとに、どんな判断ができるようになったのでしょうか。具体
的な事例を教えてください。

松本さん

平飼い養鶏は⾃然の影響を受けやすく、天候や気温によって産卵数が変わってきます。そのため、餌の配合などについても毎⽇同じではなく、⽇々気を付ける必要があるのです。状況判断については、今でも現場担当者の経験と勘に頼って⼊るのですが、Notion 導⼊後は産卵数や気象データも蓄積していることで、現場にいない社員でも客観的かつ再現性の⾼い打ち⼿を考えられるようになりました。

DXアクセラレーター

今回の DX 伴⾛⽀援で、どのような成果がありましたか?

松本さん

数字をベースにした議論をすることで、全員に共通の課題感が醸成され、新しいことにも迅速に取り組めるようになりました。社員もスムーズな情報共有や事実に基づいた判断ができるようになったことで、とても前向きになっています。まさに⽂化が変わり、⼀⼈ひとりが⾃⾛しやすくなりました。

DXアクセラレーター

仕事への向き合い⽅、進め⽅が根本的に変わったのですね。

松本さん

その通りです。これは、専⾨家の⽅に頻度⾼く関わっていただけたからこそだと思います。当社の場合、週 1 回の定例ミーティングのほか、週 3 回朝礼に出席いただきました。そこで⾊々なコミュニケーションを取ることで、少しずつ変わることができたのだと思います。

会社の将来構想

DXアクセラレーター

DX を通じて、今後どのような会社にしていきたいですか?

松本さん

もっと「⼈」を感じられるような農園や商品に⾼めていきたいです。そのためにも、バックオフィス業務やデータ管理などは、なるべく⼈が介在しなくてもいいように、⾃動化や機械化を引き続き進めていきます。その分、広報や商品づくりといった「⼈」ならではの個性を出せる場⾯に、どんどん⼈の⼒を活かしていきたいです。その⽅が会社も成⻑できるはずですし、何より社員たちが⾃⾛でき、楽しく働くことができますよね。

DXアクセラレーター

新しい商品の構想など、事業の展望についてもぜひお聞かせください。

松本さん

商品のラインナップを増やしていきます。今は鶏の炭⽕焼を開発中です。先⽇、能登半島地震に被災したお客さまに当社の商品を送ろうとしたのですが、消費期限が短く断念したことがありました。そこで、もっと消費期限が⻑く常温保存できる商品を開発しようと考えたのです。産卵しなくなった親鶏の⾝は固いのですが、しっかりと味が出て美味しいので、⻑期保存できるように活⽤していきたいと思います。

DXアクセラレーター

最後に、DX 伴⾛⽀援事業に参加を検討している企業にメッセージをお願いします。

松本さん

DX とひとくちに⾔っても、事業や課題は会社それぞれだと思います。
この事業では、さまざまな課題に合わせた専⾨家がいらっしゃるので、⾃社の課題に合致する⽅とマッチングができるはずです。私たちは伴⾛⽀援を受けて本当によかったと思っていますので、少しでも興味があれば、応募してみてください!

〜⽀援専⾨家からのコメント〜
「この⽀援期間中は本当に楽しい時間でした。毎⽇ sueco(株)の皆さんが、前向きに素直に⾏動をし
ていました。その⾏動が数字に表れ、数字をみんなで共有しさらに上を⽬指してより良くなっていくと
いう気持ちが常にありましたね。気が付けば私が⽀援を受けているような感じでした。
トライ&エラーを繰り返しながらも最後までやり抜く⼒は⾒事でした!これから次のステージで頑張
ってください!今後も楽しみにしています!」

(会社概要)
会社名:株式会社sueco
住所:〒848-0123 佐賀県伊万里市黒川町福田1405-3
事業内容:農業(養鶏)平飼い卵の生産、販売、加工

R5年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社ビザスク

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