事例紹介

平均年齢61歳!無料ツールから始める老舗着物店のDX

提供:株式会社鈴花

佐賀県が実施する「佐賀県中小企業DXフラッグシップモデル創出事業」。中⼩企業のDXを後押しするもので、今年度のこの事業に選ばれたのが、創業120年以上の歴史を持つ老舗着物店「鈴花」です。

どんなことに取り組まれたのか、鈴花DXの概要が分かる動画が公開されていますので、まずはそちらをご覧ください。

いかがでしたか?
老舗着物店のイメージが変わる、非常に興味深い内容でしたね!
動画では主に「実施したこと」が紹介されていましたが、

  • なぜDXを始めたの?
  • 誰かに相談した?
  • 最初にどんなことから取り掛かった?
  • アプリ選定はどうやって?

などなど、もし自分の会社がDXをするとしたら、他の企業の具体的な"やり方"も知りたいところ。そこでEDITORS SAGAでは現場でのリアルな「進め方、考え方」を紹介すべく、総務部の有田部長とシステム課の井上係長にお話を伺いました!すぐにでも真似できるようなヒントが満載です。

鈴花が抱えていた課題とは?DXのあゆみについて

鈴花の店舗と紫色の社用車

1900年佐賀県神埼町に小さな呉服店として創業し、着物をはじめ宝石や装飾品の小売販売で発展してきた「鈴花」。佐賀の街なかでこの「紫色の車」を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

EDITORS SAGA編集部 牛島

今日はよろしくお願いします!動画での名演技に引き込まれて最後まで楽しく拝見させていただきました。鈴花さんのイメージといえば「和」「格式」「伝統」といったものが浮かびますが、まさか「DX」をテーマにお話が聞けるとは...

有田部長

そうですよね。動画でもありましたが、ベテラン社員も高齢化してきていて、鈴花グループの社員の年齢を平均すると61歳。デジタルとは無縁な世界に思えますが、今や日本のスマホの普及率は60代で90%を突破していると言われていて、お客様もスマホを使っている方が多くいらっしゃいます。着物小売市場の縮小が進む中、デジタルを活用した新しいビジネスモデルを生み出さなければと危機感を抱いていました。

  

鈴花グループは九州〜近畿地方まで約80店舗を展開し、従業員数は500人以上にのぼります。お客様と販売員の密接なつながりが強みである一方で、その顧客情報は販売員の記憶や手書きの手帳の中、という状況。これらの情報がきちんと「会社」の情報として蓄積されるようデータベースを構築し、そのデータをもとに

  • 社員がタブレットで使える顧客カルテの作成
  • LINEを活用したデジタルマーケティング
  • アプリの開発(デジタルクローゼット×和服保管サービス)

に取り組んだというのが動画の内容でした。

EDITORS SAGA編集部 牛島

鈴花さんでのDXの取組は「佐賀県中⼩企業DXフラッグシップモデル創出事業」に採択されたことがきっかけで始められたのでしょうか?

有田部長

小さいことも含めると、2015年ごろから社内業務のデジタル化を地道に進めていました。正直なところ「DXしよう!」といってはじめた訳ではなく、内部のアナログな部分を改善したいと思い、社内コミュニケーションの方法を変えるところから始めた形です。
例えば、業務日報をFAXでの提出から、チャットツールの「Chatwork」で報告する形に切り替えたり、社員同士でスケジュールが簡単に共有できるグループウェアの「サイボウズ」を導入したり。
こうした中で「DXフラッグシップモデル創出事業」の存在を知り、わが社のデジタル化は更に加速しました。

井上係長

「Chatwork」も「サイボウズ」も最初は無料版でやっていましたね。オンラインミーティングも最初は「Skype」の無料版を使っていました。いきなり有料契約せず、まずは無料で使ってみて、これはうちの会社に合うと思ったものだけを有料版に切り替えていきました。
営業支援ツールとして顧客情報が簡単に登録できるようなパッケージサービスも検討したのですが、最新のクラウドツールを導入したとしても、高齢化した販売員たちが全部活用するのは難しいように思えました。そこで、弊社のメンバーが比較的スムーズに顧客情報を登録していけるようなアプリを内製で開発できないかと思い、勉強してみることにしました。

有田部長と井上係長

無料ツールを使い倒す!タダから始めるDX

井上係長の所属するシステム課は2名体制。どのようにして顧客情報アプリの作成に取り組まれたのでしょうか?

井上係長

コロナ禍になって、オンラインで色々なデジタル技術を学べる勉強会が増えたので参加してみることにしたんです。弊社の業務システムはMicrosoft製品を使用していることもあり、データ分析ができるMicrosoftのアプリケーション「Power BI」※の勉強会から参加してみました。

  

※「Power BI」とはMicrosoft社が提供する「Power Platform」の中のひとつ。業務を効率化するための各種ツールを提供しているサービスで、データの入出力・蓄積・分析をローコード開発(ソースコードをほとんど書く必要がない開発手法)で実現できるのが特徴。
【Power Platformの主なサービス】
・Power BI(様々なデータを迅速に分析・可視化できる)
・Power Apps(簡単にアプリケーションを作成できる)
・Power Automate(複数のアプリケーションを連携して業務の流れを自動化できる)
・Power Virtual Agents(チャットボットを簡単に構築できる)

井上係長は「Power BI」の勉強会をきっかけに「Power Platform」で出来ることを自主的に勉強され、次のことを実践されました。

 無駄なカラー印刷を激減! 複合機のカウンタ分析

鈴花では約4年前に、各店舗のFAXとモノクロプリンタを複合機へ切り替え。便利になった一方で、カラー印刷も可能になったことで印刷コストが急激に増加してしまいました。そこで井上係長は、不必要なカラー印刷が発生していないか各店舗の使用状況を可視化してみることに。まずは複合機管理ツールを使ってカウンタ情報を取り出し、データベースに格納。そのデータを「Power BI」で分析し、店舗ごとの印刷料金、カラー比率の数値などをレポートとして書き出すことに成功しました。

「Power BI」で作成したレポート
「Power BI」で作成したレポート
井上係長

全店分のカウンタ情報をどうやって分析するか悩んでいましたが、「Power BI」が解決してくれました。カラー印刷が多い店舗が一目で分かるようになったので、該当店舗に随時問い合わせるようにしたところ、本当に印刷する必要があるのか、しかもカラーである必要があるのかを意識してくれるようになり、結果的にカラー印刷料金の削減に成功しました。

みんなで写真を共有!社内向けアプリの開発

和服の日ロゴ

鈴花では2020年から、10月29日を「和服の日(1029=いいわふく)」として、社員が和服姿で街なかを歩くPRイベントを開催されています。しかし2021年はコロナ禍で密を避けるためグループ分けして実施することに。「イベントの一体感が欠けてしまう」と感じた井上係長は、離れていてもイベントの様子が共有できるような仕組みを考えました。

そこで、まずは「Power Apps」でイベントの写真を共有できるアプリを開発。社員たちが写真をアップロードする場所をつくり、次に「Power Automate」でアップロードされた画像を分析。これにより、写真に男性と女性それぞれ何人映っているか、どの場所で撮影したものか、スマイル度数はどのくらいか、どんな服装かなど、画像の仕分けを可能にしました。

井上係長

画像解析した結果は「Power BI」でスポット別写真枚数ランキングなどのレポートとして可視化しました。社員みんなが他のグループのイベント状況を見ることができるようにしたことで、イベントに一体感を生み出すことができました。
さらに画像の一元管理にもつながったので、広報面でもメリットが生まれました。例えば、"女性の着物姿"の画像を使ってSNSで情報発信をする場合、すぐにその条件に該当する写真を絞り込んで見つけられます。

「Power BI」でスポット別写真枚数ランキングなどをまとめたレポート
「Power BI」でスポット別写真枚数ランキングなどをまとめたレポート
EDITORS SAGA編集部 牛島

「Power Platform」の様々な機能を使いこなされていますね!連携のさせ方などシステム関係の知識がない人間には難しそうに感じますが、井上係長は元々そうした知識をお持ちだったから出来たのでしょうか...?

井上係長

私はシステム課ではありますが、既存システムの運用・保守が主な仕事で、システム開発の専門家ではないんです。そんな私でも「Power Platform」はプログラミングの知識が無くてもポチポチとボタンを選択したり、情報を指定したりするだけで出来ちゃいました。

EDITORS SAGA編集部 牛島

へー!そうなんですね。ちなみに「Power Platform」は利用料がかかるのでしょうか?

井上係長

有償版もありますが一旦はMicrosoft365の範囲内で作成しました。これだったら失敗してもダメージは少ないですし、まずは試してみて、小さな成功例をつくるといいと思います。これがやれたから、次はもっと拡大してみようという風に徐々に進めていく方法がいいと思いますね。

社内のITリテラシーを上げる!IT勉強会

井上係長はオンライン勉強会で学び続け、様々な知識を吸収。そして今度はご自身で社内向けにIT勉強会を始められました。

井上係長

業務効率化につながる色んな機能を勉強会で紹介し、社員のITリテラシーを向上させるよう努めています。

有田部長

ちょっと恥ずかしい話ですが、10年位前はExcelで表を作成して、それをプリントアウトして記入した数字を電卓でたたいて手計算したりする人もいて (笑)。そのくらいのレベルだったんですよ。でも今は便利な機能があって、例えばこれまで費やしてきた作業時間が不要になるので、その分「新しいこと」ができるんですよね。そうするためにも、会社全体でもう少しデジタル技術に慣れていかないといけません。

井上係長

「Power Platform」もそうですが、コードを書かなくても使えるものは、「実際に業務で使う人がつくる」のが本来一番良い使い方だと思っています。実際に業務をしている人が、業務を"楽"にするにはどうしたらいいだろう、と考えて取り組むことがDXに必要なマインドだと思います。そうした意識を勉強会で育てていけたらと考えています。

社内のITリテラシー向上を目指し、ツールの使い方や意識改革にも取り組む
社内のITリテラシー向上を目指し、ツールの使い方や意識改革にも取り組む

いよいよ本格化!対お客様を意識した新しい取組

内部で小さなDXをコツコツと進めてきた鈴花ですが、2022年に「DXフラッグシップモデル創出事業」に選ばれてからその動きは本格化します。取組内容とそれぞれの進め方について見ていきましょう。

電子顧客カルテの内製

営業の要となる顧客情報。これまで鈴花では各店舗にある1台のパソコンからしか顧客データベースにアクセスできない体制でした。そのため、パソコンに慣れた人しか扱えず、販売員が持つお客様の趣味や趣向といった貴重な情報は、個人の手帳や記憶の中にしか残されず、直接担当した者以外は確認できませんでした。この状況を改善するため、お客様の幅広い情報をデータベースに集約し、各顧客のデータを「顧客カルテ」としてタブレットで簡単に取り出せるアプリを開発されました。

顧客カルテの画面。過去来店されたデータや購入履歴などをまとめて確認できる
顧客カルテの画面。過去来店されたデータや購入履歴などをまとめて確認できる
井上係長

この顧客カルテは「和服の日」イベントでつくった写真共有アプリと同様、「Power Apps」で作成しました。元となる顧客データは「Power Platform」の中にある「データフロー」という機能をつかって、「Microsoft Dataverse」に格納しています。そのデータの一部がクラウド上に入っているので、情報をタブレットに引っ張ってきて見ることができるという仕組みです。

EDITORS SAGA編集部 牛島

過去のアプリ作成の経験と、Microsoftサービスの連携しやすさを活かされたのですね。

井上係長

はい。データが大規模なので「Microsoft Dataverse」は有料版を契約しています。まずは顧客カルテのテスト版をリリースして、店舗に使用感などを試してもらいました。内製の強みはすぐに修正できるところなので、フィードバックをもらって直して、とスピーディに進めました。

  

その後、無事に全店舗にタブレットを配布し「顧客カルテ」の運用が開始。基礎的な情報だけが入った顧客データに、販売員たちが長年の経験の中で蓄積してきたお客様情報を追加入力し、どんどん情報の拡充が進みました。タブレットで見られる「顧客カルテ」、現場の反応はどうだったのでしょうか?

有田部長

今までは、お客様情報については、商談していてもバックヤードに戻って時間をかけて確認するしかなかったんですよ。それがお客様のそばで簡単に確認できるようになったので、途切れず商談できるようになりました。

井上係長

現場でどのくらい写真をアップしてくれるか不安だったのですが、意外にもパソコンが大の苦手だという店舗が一番たくさんアップしていて、タブレットは誰にとっても使いやすいんだなと思いました。

有田部長

普段スマホは使い慣れているから、タブレットはハードルが低かったのでしょうね。これまで販売員個人のスマホに保存されるだけだったお客様の写真が同店舗内で共有できるのもすごく大きい。もしも担当販売員が辞めてしまっても、お客様のこれまでの情報がきちんとあれば、質を落とすことなく接客することができます。

タブレットをのぞき込む鈴花のベテラン職員さん

LINEを活用したデジタルマーケティング

顧客データベースができたことにより、LINEを活用したデジタルマーケティングも開始。具体的にどんなことを実現されたのでしょうか。

有田部長

お客様も販売員もLINEの利用率が高いので、コミュニケーションツールとしてLINEを選びました。鈴花のLINE公式アカウントにより、お客様の嗜好にあった商品やイベントの紹介などを発信します。

井上係長

お客様に合った情報を提供していくためには顧客データベースとLINEを連携させる必要があるので、その部分は「Liny」というツールを導入しています。簡単に言うとLINE公式アカウントの配信・運用・管理をサポートするクラウドマーケティングツールですね。

有田部長

これまで販売員個人のLINEでやりとりしていた部分を、会社の公式LINEでやりとりすることで履歴が共有できるので、動きがわかりやすく、引き継ぎの際もスムーズになると期待しています。

「和服らいふ」アプリの開発

顧客に向けた新たな取組として際立つのが、デジタルクローゼット機能を含んだ「和服らいふ」アプリの開発。顧客が所有している着物・帯・小物をスマホ上のクローゼットで管理でき、いつでもどこでも中身を確認することができるという優れものです。さらに、シーズンが終わった和服を預かり、丸洗いして保管するサービスも開始。この申し込みも同アプリから行うことができます。

スマホで「和服らいふ」アプリの画面を操作している様子

EDITORS SAGA編集部 牛島

こちらのアプリはどのように開発されたのですか?

有田部長

機能要件が複雑で、業務量的にも内製は難しかったので、外部に依頼することにしました。ただ今まで経験がないので、業者選びがすごく難しかったです

  

DXで大事な開発事業者=パートナー選び。ITの知識が必要となる分野のため、コンサルを入れて進める場合も多いのですが、今回鈴花では自分たちでほとんどの計画を立て実行されています。どのようにして業者探しをされたのでしょうか。

有田部長

最初は、以前マーケティングをお願いした業者にアプリ開発をお願いしたのですが、いざ構築にむけて話していくと、私たちがやりたいことと業者ができることの間に乖離があることが分かってきました。既に何回も打ち合わせをしたのでそれを無駄にしたくないという気持ちと、自分たちの考えるアプリの理想像との間で、胃が痛くなるほど悩みました(笑)。

  

このまま進めるのは楽だけれど、自分たちが理想とするアプリはできないー。有田部長は悩んだ結果、つくりたいものを実現してくれる新しい業者を探し直そうと決心されました。

EDITORS SAGA編集部 牛島

そこからどのようにして新しいアプリ開発業者を探されたのですか?

有田部長

まず佐賀県産業スマート化センターに相談しました。そこでは業者を探したい企業と、技術を提供できる企業の"マッチング"をサポートしてくれていたので、そこでいい業者さんとの出合いを探そうと。マッチングでは、うちはどんな会社なのか、今回何をしたいのか、予算はいくらか、いつまでに完了したいのか、どんなスペックが必要なのかといったことをプレゼンするのですが、その資料づくりを通して、自社がどんなアプリをつくりたいのかを明確化するいい機会もになりました。

EDITORS SAGA編集部 牛島

なるほど。その結果無事に業者さんが見つかったのですね。

有田部長

はい。業者さんとやりとりをするチャットグループの中には、スマート化センターの担当者の方にも入っていただきました。専門外のことなので分からない用語も多いですし、先方が言っていることが妥当なのかどうかの判断が難しいシーンもあったので。

EDITORS SAGA編集部 牛島

業者さんが言うことを丸のみしていいのか分からないときもありますよね。そういった点ではスマート化センターの担当者が鈴花さんのセカンドオピニオン的な存在になっていた感じでしょうか?

有田部長

そうですね。チャット上で揉めていると、「大丈夫ですか?」とメッセージをくれました。ゼロからのアプリ開発は大変でしたが、都度、スマート化センターからIT業界の知識やアドバイスをいただけたので助かりました。

  

「和服らいふ」のアプリは以下よりダウンロード可能です!

AppStore(ios): こちらから

AppStore(ios)

GooglePlay(android): こちらから

GooglePlay(android)

鈴花はどう変わった?DXの効果について

これまで鈴花さんの取組について具体的な手法を紹介してきましたが、同じようにDXに取り組む企業の中にも思うように進められずに悩んでいる企業も多いはず。鈴花ではプロジェクト推進にあたってどんなことに気をつけられたのでしょうか。そして、今回のDXを通して鈴花にどのような変化が起きたのか伺ってみましょう。

有田部長

気をつけた点としては、弊社の場合、あまりDXという言葉を使わないようにしていました。DXと言うと難しく聞こえ、拒否反応が出て頑なに拒絶する人も結構います。そこで、社員が一度は使ったことのあるものを例に出し、それとの比較で具体的に説明していきました。例えば、「顧客カルテ」の使い方を説明するときに、「これは以前の社内イベントの写真共有アプリと同じようなアプリで、使い方も似たような感じです」と説明すると、「あぁ、あれね」とすっと理解してもらえます。一度使ったことがあるから、そう難しくないものとして受け入れやすくなっているんですよね。気がついたら、"結果、これがDXだったんだ"といった感じが、平均年齢61歳の弊社には向いていると考えました。

井上係長

変化の面でいうと、DX前に比べたら、業務のやり方はかなり変わってきたと思います。OneDriveとは何か、SharePointの共同編集はどうやるかなどについて勉強会を開催したら、他の社員もだいぶ使いこなせるようになってきています。

有田部長

私自身のことで一番変わったと感じるのは、お客様のことを考える時間が増えたことですね。お客様が今何を求めているのか、どういうことをしたらお客様が喜んでくれるのか。お客様が考えているさらにもう一歩先のサービスを提供したいと常に考えています。

EDITORS SAGA編集部 牛島

それは、今回のDXでお客様のデータが整理されて分析できるようになったことで、より考えるようになられたのでしょうか?

有田部長

そうですね。データ分析を通じてお客様の属性や嗜好を把握したり、会社として直接お客様とLINEでつながったことによって、よりお客様の存在を身近に感じられるようになったことが大きいと思います。

EDITORS SAGA編集部 牛島

今回のDXを経て、鈴花さんのサービスはますます充実していきそうですね。

井上係長

DXはツール導入して終わりではありません。今は、顧客カルテ、LINE、和服らいふのアプリで、データを蓄積しているだけの状態です。今後は、蓄積したデータを活用し、次のアクションにつなげていきたいと思っています。今やっとスタート地点に立った、と思っています。

有田部長

今までは、新しいお客様の入口はリアルな店舗だけだったのですが、アプリやイベントでもつながっていけるように、今後構想していきたいと考えています。

パソコンに向き合う有田部長

DX検討中の中小企業へメッセージ

EDITORS SAGA編集部 牛島

最後に、同じくDXを検討している方へ鈴花さんからメッセージやアドバイスをお願いします。

有田部長

DXというと難しく考えがちですが、今アナログでやっていることをデジタルに置き換えたら?と想像してみることがDXの第一歩ではないかと思います。小さなことでも、できるところからまずやってみるのが一番ではないかなと思います。

井上係長

自社の場合、最初は複合機分析、次に社内イベントの写真共有アプリ開発・・・と、いきなり富士山の頂上を目指すのではなくて、段階をホップ・ステップ・ジャンプみたいに低い山から登っていくイメージで進めました。そのためには、まずは今使っているMicrosoftやGoogleなどが提供する無料ツールをとにかく使い倒す。その上で、自身の会社に合うものを見極めるのもいいのかなと思います。

有田部長

弊社のような中小企業では、限られた人員でどう効率よく仕事をするかと考えたときに、デジタルの力は絶対必要です。人間がする作業をデジタルで効率化すると、人はもっと"攻め"の部分の新しいサービスをつくり出すことに時間が使えます。

井上係長

平均年齢61歳の会社でもDXに取り組んでいます。みなさんのDXへのハードルを下げられれば嬉しいですね。

有田部長と井上係長の晴れやかな表情

有田部長のお客様への熱い想いと、井上係長の新しいデジタル技術を学んで取り入れる姿勢から、力強く進んだ今回のDX。社員のITリテラシーに寄り添った導入の仕方や、無料ツールの使い方など、真似できるヒントがたくさんありました。"小さい成功をつくって徐々に大きくする"。DXに取り組むときに欠かせない考え方かもしれません。鈴花の挑戦を参考にDXを検討してみてはいかがでしょうか。

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